ものすごく人を選ぶ映画だと感じた。
熟年カップルと若い男女がそれぞれ河原に行き、何をするでもなく時を過ごす。
その様子が、音楽も台詞もなく、ただ延々と引きの画面で映し出される。
説明らしきものは一切ない。
これが44分間、続くのだ。
何の説明もないということは、どう捉えてもいいということでもある。
若い男女が熟年の二人の過去の姿だと考えてもいいし、男性のほうがじつは認知症と考えてもいい。
もっと発想を広げて、カップルの正体は本当は宇宙人、としたっていい。
逆に言えば、そんなふうに観る側が物語を作りあげないと、観続けるのはかなりしんどい。
人によっては五分と耐えられないだろう。
TikTokの流行を挙げるまでもなく、映像表現は「簡潔でわかりやすさ」を求められる時代になっている。
そんな時代に敢えて、真逆を行くような、観客に全部を委ねるような作りは、大胆で挑戦的だ。
ただ、それが面白いかどうかは、残念ながら別問題だろう。
少なくとも、僕は観ていてとてもしんどかった。