糸くず

山河の子の糸くずのレビュー・感想・評価

山河の子(2018年製作の映画)
2.9
中国の貧しい農村部の小学校に通う三人の少年たちの日常を追ったドキュメンタリー。

ところどころハッとする瞬間はある。学校の敷地の脇の崖に集められたゴミ、カラオケで行われる音楽の授業、市役所の職員と地元企業によるお楽しみ会の白々しさ。ベリーダンスを無視してケーキをむさぼり食う少年の顔がとてもいい。ラストの父と息子のやりとりも悪くない。しかし、字幕による5W1Hの説明が映像の雄弁さを削いでいて、映画が冗長になっている。

食事の場面が多すぎるのが少し気になるが、短い撮影期間(合計で3週間程度とのこと)で撮るべきものをしっかりと撮ることができている。そして、それぞれの人間の中にある光と影を出来る限り捕まえようとする意思が感じられる。なので、まずは映像の力を信じて観客に委ねるべきではないだろうか。

監督は少年たちのうちの一人を10年間追いかけ続けるようなので、世界とじっくり向き合って、ワン・ビンの『三姉妹』を超える傑作に挑戦してほしい。

第40回ぴあフィルムフェスティバル
PFFアワード2018
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