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津軽のカマリのodyssのレビュー・感想・評価

津軽のカマリ(2018年製作の映画)
3.5
【めくらの生き方】

津軽三味線の大家である高橋竹山を描いたドキュメンタリー。
幼少期に視覚をほぼ失い、食っていくために三味線などを習得した高橋竹山。
しかしそれでも食っていくためにはたいへんな苦労があった。

私は津軽三味線にも、そもそも三味線にも興味がないし、演奏がいいかどうかは分からないんですが、この映画で彼の演奏を聴くとやはり迫力を感じます。単に技術的な問題ではなく、めくらが必死で生きていくために習得した、そしてその全人格的な背景から出てくる音楽の真摯さに打たれるのです。

この映画では、彼が生きている中で、大津波に見舞われた三陸や、戦争末期に戦場になった沖縄ともつながりを持っていたことを知りました。めくらのような身体障害でなくとも、自然災害や戦争で大きな困難に際会する人々や地域はある。そうした人々のつながりを、改めて教えられました。
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