Binchois

津軽のカマリのBinchoisのレビュー・感想・評価

津軽のカマリ(2018年製作の映画)
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初代高橋竹山の記録映画である本作を、二代目竹山氏の演奏会と併せて鑑賞した。
現代の三味線の名手が何人か登場し、その腕前を惜しげなく披露してくれる。そして名手の誰もが、「竹山先生にしか出せない三味線の音がある」と語る。形式的な謙遜から出る言葉ではない。
ど素人の僕でもわかる。力強く撥を叩いているはずなのに、竹山の音には不思議な柔らかさがある。失明やら貧窮やら災害やら、彼の受難は一人の人間が背負うにはあまりに重すぎる。
竹山の奏でる三味の音は、生老病死をまるごと包み込むような凄味がある。
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