みきてー

津軽のカマリのみきてーのレビュー・感想・評価

津軽のカマリ(2018年製作の映画)
3.6
津軽生まれだけど、竹山のちの字も知らず鑑賞。勉強になった。

三味線のすべては「命」で出来ているというエピソードが印象的。バチは甲羅、犬の皮を張り、かいこの糸が弦になる。その説明の後、三味線工場の光景が挿入される。かいこの糸をガーガー紡ぐ不快な機械音も、竹山が弾く三味線の一音も、同じ物質から放たれているとはにわかに信じがたい。命への敬意がそうさせるのだろうか。全く異質のものとして対比させているところに監督のメッセージを見た。

そんな生命力あふれる演奏が沢山見れて眼福であっただけに、晩年のラストステージはとても残酷だった。命が燃え尽きる様子ってこんなに顕現しちゃうものなんだ…と。三味線はチカラや積み上げてきたテクニックで弾くものではない。

中盤、尺八と水面が共鳴する夢幻的なシークエンスがあり、そこだけテレンス・マリック作品を見ているようでとても印象に残っている。

終映後、2代目のコンサートも見られて貴重な体験だった。
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