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Tokyo 2001/10/21 22:32~22:41のdm10foreverのレビュー・感想・評価

Tokyo 2001/10/21 22:32~22:41(2018年製作の映画)
3.5
【縮図】

回転寿司って、どことなく社会の縮図というか、家族の縮図というか、結構「人間観察」をしていて飽きない場所だなって思う。

一人で来て2~3皿食べただけでサッと帰ってしまう人を見ると、「いつも来てるんだろうな~」とか「一人でこういうところに来て小腹だけ満たしてサッと帰るって実はスマートかも・・」とか。
逆に家族連れで来て子供の分までレーンから皿を取ってあげたり、奥さんのお茶までせっせと注いであげたりしているお父さんを見ると「優しいな~」と思う反面、「意外と窮屈そうだな~」とか感じたりして・・・。
あと店員さんなんかも結構見ていて、「あ、いつものお兄さんがいない・・」とか「あの人声大きいね」とか「あの人、なんだかトッポジージョに似てる・・」とか。
あ、「トッポジージョ」って昔あったアニメのタイトルです(笑)

全部、勝手なこっちの妄想なんですが、うちの家族がよく行く回転寿司はいつ行っても混んでいて待ち時間もそこそもかかるんで、ついつい「ウォッチング」してしまうんですよね(笑)。
でも、裏を返せば「うちの家族はどう見られてんのかな?」っていう怖さ?興味?もあり。


このお話しは東京で一人暮らしをする息子と、彼を訪ねて田舎から出て来た母親が回転寿司を食べながらお話しするという「何てことないお話」。

なんだかんだ言いながら、お母さんは一人暮らししている息子が心配なんだよね。
だから、話す内容なんて実はどうでもよくて、傍から見れば「噛み合ってないなぁ」と見えるような会話でも、何故か「親子」だと成立してしまうんだよね。

なんだろうね・・・。いっぱいお母さんが話しかけてるのに「ん。」とか「あぁ」しか言わない息子。
なのにお構い無しに話し続けるお母さん。
で、話を聞いてないようでいて「・・・っていうか、さっきこう言ったじゃん」と、実はちゃんと聞いてる息子。

自分も大なり小なりそういう時期ってあったのかもしれないな・・・と回顧。
若い頃って一旦そういう「親がうざい」っていうモードに入る時期ってあるのかもしれないね。
ホントはそんなこと思ってないのに。

『人生は近くで見ると悲劇だが~』でもないけど、この親子みたいに会話の様子を見ていると「噛み合ってないな~」って思えても、ちょっと引きで見てみると「何だかんだ言っても一緒にご飯を食べに行くなんて仲がいい証拠じゃない」とも思える。

「たまには帰って来なさいよね」
「・・・ん」

極端な話をすれば、言いたいことはそれだけだったのかも知れない。
でも、それを電話で済ませるでもなく、面倒くさそうにでも一緒にお寿司を食べに行ってお母さんの話に付き合ってあげる息子君も根はいい子だと感じた。


あと、個人的に好きだったのは、この「切り絵アニメ」のテイストが「空飛ぶモンティパイソン」の劇中挿入のショートアニメと雰囲気が似ていて大好き。
(あっちはもっとシュールだけど・・・)
店員の頭が魚になってるとか、意外と「音」に拘ってるとか、アニメなのに「実写」を使うという設定の異質な雰囲気がよく出ていたと思う。
案外子供が見たら怖がるかもしれないけどね・・。

いい意味でサビの効いた面白い作品でした。
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