Ayah

タリナイのAyahのレビュー・感想・評価

タリナイ(2018年製作の映画)
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争いも憎しみも似合わない、エメラルドグリーンの透き通った海。そのすぐそばに残り続けている悲しい傷跡。戦争(タリナイ)の欠片…。

忘れたわけではない。記憶は生き続けている。それでもなお、「傷つけた者」と「傷つけられた者」とが共に、亡き者に手を重ね、笑顔で向き合う。それこそが平和への希望だろう。

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冒険の始まりは、小さな小さな島で息絶えた、あるひとりの人の手記。そこに刻まれていたわずかな記憶。誰にも知られずに消えてしまってもおかしくなかった「かつての時間」。

時を越え、年齢を越え、国籍を越えて、今を生きる者たちが新たな息吹を吹き込んだことで、「新しい記憶」として、この先の未来を生き続けるはずだ。

「戦争」という曇空のようなテーマなのに、どこまでも美しく、どこまでも優しく、つきぬけるような晴天が不思議と心に残りつづける作品。
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