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ジョーカーのannnouimoのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.3
救いはなく、おぞましい胸クソ映画。
主人公への同情心が、映画の後半には正反対の批判的な気持ちに反転してしまうのは、私もまた虐げる側の人間なのだろうかと思わされる。いや、虐げる側の「価値のある人間に決まっている」という思い込みか?と考えさせられ、二重の胸クソに支配される。

特別な人間になりたい、存在価値のある人間になりたいという想いが無惨にも打ち砕かれていく様子は目を背けたくなる。
自分は誰からも優しくされないのに、みんなを笑わせて幸せにしたいという願望が、一層の悲しみを誘い、救いのなさに拍車をかける。

しかしながら、悲しみと辛さだけの救いのない映画よりは、主人公が「スカッと」して鬱憤を発散した点はまだ救いがあったのだろうか…

リアルに米国社会に生きている人にとっては、よりえぐられるような作品なのだろうな。掘り下げたら深く論じられるポイントが多々ありそうだが、二度は見たくない。

ホアキン・フェニックスの演技はすごい。演技じゃなくて素なのかと思えるほど。
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