ゆう

ジョーカーのゆうのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.6
ヒース・レジャーの後のジョーカーを演じるのは相当な覚悟とプレッシャーがあったかと思うが、見事にホアキン・フェニックスなりのジョーカーを演じ抜いていました。
痩せ細った体作りや狂気の纏い方など、見事としか言いようがない。

全編通して、とにかく画面が暗く陰鬱なシーンが多い。意図してなのか、両サイドに壁があり、一方通行のような絵面も多かったように思います。
破滅への一本道、辿り着く先がまるで決まっているかのようそんな感じ。

冒頭のカウンセリングシーンが、暗い部屋で物が溢れた雑多な感じであるのに対し、ラストのカウンセリングシーンが、白を基調とし、整頓された空間なのが印象深い。
自分を偽る事を辞め、守るべき物がなくなり身軽になったシンプルな人生を象徴しているかのよう。

分断が騒がれているアメリカには痛く刺さるテーマ性だったでしょうね。

ただ日本でこのようなダークヒーローが誕生するかと言ったら、少し疑問に思うな。
弱者への共感や既得権益者への怒りや反骨精神がなく、とにかく無関心が蔓延っているように思うので。

アーサのような、ヤングケアラーだったり、精神疾患だったり、貧困層が、社会の片隅でひっそりと忙殺されないようにしないと。
ゆう

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