ぐり

ジョーカーのぐりのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
2.1
ホアキン・フェニックスが本当にすごい
それに尽きるように思った。
映画としては、3分の2くらいはアーサーの不遇話で冗長に感じたし、だからなるべくしてジョーカーは生まれたかのような、説明臭さが鼻につく。


「俺が狂ってるのか、世間が狂っているのか」
「他人には俺が見えていないみたいだ」

アーサーの心の痛みは何だったんだろうか。

不遇な環境から、周りからは馬鹿にされるし
カウンセラーは仕事をこなしてるだけで、こちらの話を聞いていない。
母親からは子供の頃からハッピーと呼ばれ、笑顔に固執してコメディアンになりたいと願うようになる。
そして世間の成功者を亡き者にすることで、ジョーカーとして世間の耳目を集めることができた。

笑顔でいることだけが存在意義だったアーサー
ピエロの白塗りで無理なく笑顔でいられる術を手に入れたジョーカー
コメディアンになれず、勝ち得なかった母親以外からの認知も手に入れた。

アーサーは家庭環境や障害などを理由に謂れなき不利益を被っているようだった。
しかし、現実世界ではそんな単純ではなくて、不遇な環境+本人の振る舞いによって周囲は反応するものだと思うから、だから感情移入はできない。
結局アーサーは、存在の認知や肯定が欲しかったということ?だとすると、ちょっとストーリー的には浅いように感じる。


同じマンションの女性との交流が空想だったとわかったシーンはびっくりした。
オープニングの鏡台の前でピエロの白塗りをして涙するアーサーのシーンは、先日観たDOGMANを思い出したし、素敵なシーンだった。

ホアキン・フェニックスが少しずつ、目の色や表情を変化させていくのが怖いくらいすごかった。ホアキン・フェニックスは本当にすごい。
ジョーカーが捕まったあとの、パトカーの車窓とジョーカーの顔のシーンが好き。
あと、ビジュアルイメージにもなっているのかな?長い階段で踊るシーンも良かった。
ぐり

ぐり