まず、このジョーカーは、対バットマンのヴィランとしての悪のカリスマ性溢れるジョーカーではない。だからジャック・ニコルソンやヒース・レジャーが演じたジョーカーと比べてはいけない。
ただの一人の哀れな男が、狂気に目覚めて自分を解放した結果ジョーカーになった話。その過程がとても丁寧に描かれている。ジョーカー誕生物語の一つとしては全然ありだと思った。
とにかくホアキン・フェニックスの演技が凄い。凄過ぎる。心身の健康が心配になるレベル。演技もそうだけど、ガリガリの身体作りからして鬼気迫る。
アメリカでは観客への影響力を鑑みて、警備隊を配置して上映している所もあるとか。見た後なら、それも分かる。ゴッサムシティはお先真っ暗なこの世界の行く末を表しているようで、世相にもマッチしてしまっている。ジョーカーと自分を多少なりとも重ねてしまう人も少なくなさそう。
凄い映画である事は間違いないので是非沢山の人に見て欲しいんだけど、勧めづらい。精神が安定している時に限る。
