Shin

ジョーカーのShinのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.3
これまで多くの名優に演じられ、最も人気の高い悪役とも言えるジョーカー。
そのキャラクターはほぼ出来上がっている為、いかにして生まれたのかを本作で描いています。

心優しく、人を笑わせることが大好きなアーサーは、序盤から様々な葛藤に苦しめられます。
世間からの嘲笑、貧困、精神疾患、父親の不在、友達がいない、虐待など、ここまで背負うとなると、同情をせざるを得なくなります。

もっと愛を与えてくれる人がいれば、ここまでは至らなかったのに。唯一の存在であった母との関係も・・

バーでのライブのお客としてのアーサーが、一人だけ笑うところが異様に変だったのですが。劇中でアーサーは"笑いは主観だ"
言っていました。喜劇は本来は客観的なものなので、違和感を感じるとともに、コメディアンとしての資質の無さがうかがえます。

また"人生は喜劇だ"と言うジョーカー。人生も主観だと捉え、思うがままに行動するようになります。そして共感するゴッサムシティの人々を味方につけ、ダークヒーローへと登りつめる。観ている側も高揚させらてしまいます。

ただラストがどこまでがアーサーの現実なのか、あいまいな表現になっています。まるでジョークだと言わんばかりに・・

ホアキン・フェニックスの演技は『タクシー・ドライバー』のロバート・デニーロばりに素晴らしかったです。

本作は映画史上、最大にして最悪のジョークだと言えるのでは。
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