タカヒト

ジョーカーのタカヒトのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.2
この作品における「差別」「被差別」の関係性は容易に転換してしまう。
本来、精神病を抱え、生きにくさを感じているはずのアーサーは「被差別」者であるはずだが、しかし、時にアーサーは「差別」者にもなる。価値観が対立しているはずの本作は、一方で価値観の対立を曖昧にし、貧富の格差を際立たせつつも、そこにある政治的な対立を「コメディ」に接続させつつ「わからない」と嘲笑っている。政治を手放していく姿勢は間違いなくアメコミ映画なのであろうが、本作の持つそうした性質はむしろ、より確かなものとして現代社会の抱える問題を浮かび上がらせようとしている。
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