たえぴょん

ジョーカーのたえぴょんのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.5
実はあまり気乗りしなかったのだが、評判の高さゆえのネタバレ回避に疲れてつい見に行ってしまった。結果。ここまで共感できない人しか出てこない映画も珍しい、ってくらいに出てくる誰にも成り変われない映画だった。映画見てる間中ずーっとどこか上の方からぼんやりスクリーンを眺めている自分を俯瞰でみている気分というか。
主人公アーサーにも母親にも仕事仲間にも、ロバートデニーロにも全く共感できない。
実は私におかしな人に目を付けられ怖い目にあうという要らない能力が備わっていて、地下鉄の駅で殴りかかられ引き倒される、家のドアから刃ものつっこまれる、電車内で首しめられるetc.数々のアーサーもどきにめちゃくちゃイヤな目にあってるのでアーサーに全く、まーーーーーったく同情もなければ共感も憐れみも感じない。最後の部分も私的に全くオチになってないしかえって恐怖が増しただけ。スティーブン・キングよりホラーでしかなかった。
 
んだが、だからこの映画に価値がないとか、公開すべきじゃないとか言うつもりは全くない。
視覚と聴覚だけの世界なのにゴミ・血液・湿気った壁紙・中年男の体臭をリアルに鼻先に感じるような映像とセット、シナトラの歌声・電話のベルに代表される喧騒などなど、映画というものの力を見せつけられる気がした。
そしてこの嫌悪感の9割はホアキン・フェニックスの演技の結果。好き嫌い抜きで素晴らしい演技だったと思う。ぜひアカデミーを取ってもらいたい。