ベランダ

ジョーカーのベランダのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.7
バットマンを観ていないので、その辺の面白さはわからなかったが、おもしろかった。この映画を観終わったあとに、家でタクシードライバーを観たのだけど、そしたら、話が頭の中で混ざってしまった。戦争によるPTSDで不眠症の男と乳幼児期の虐待のPTSDそしてファミリー・シークレットに振り回される男。

トーマス・ウェインが父親だという秘密を知った時、トーマスの家の門で異母兄弟と接触。父親だと思った男と異母兄弟の親子関係を見る。そして次の瞬間、父親だと思った男に「母親もアーサーも狂っている」と貶められ、息子であることを否定され、顔面を殴られてしまう。

うーん。それは、狂うだろう。貧しい暮らしの中、母親が、ずっと助けてほしいと手紙を書き、いつも返事を待ち続けている。それを見て育ったアーサーだから、母親の分の負債まで負ってしまっているのだ。それまで抱えてきたファミリー・シークレットを知ってしまっただけでも衝撃なのに、そんな母親の人生や自分のルーツまで狂人の妄想と言われ、殴られてしまったのだから。

妄想も混ざっていてわかりにくいけど、私はアーサーはトーマスの本当の子どもなんだろうなと思う。

門での対応がなんかちょっと変だったし、本当の父親に非情に切り捨てられた怒り・悲しみと、そんな現実を受け入れられずに騙されてもまだ昔の男に頼ろうとする母親への怒りやそうならざるを得なかった環境への怒りが言葉にできなかったとしたら、ジョーカーやその他の妄想が生まれてしまうくらいの心理負担だと思うからだ。

残された異母兄弟の今後も思わせぶり。バットマンも観てみないとね。
ベランダ

ベランダ