イチ

ジョーカーのイチのネタバレレビュー・内容・結末

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

幼い頃より反射的に笑い出す病気を持っているが、なんとかコメディアンを目指している男性の話…。
見た後はボーッとしてしまうほどの強烈さがありました、話題作なのも納得しました。

アーサーの不幸な点はやはり生い立ちかと思います、愛し愛されていた母親についての点。
そこからのアーサーの病気による笑い出してしまうことへの周囲からの視線。
笑わせたいという気持ちを持っていたのに笑われているという気持ちへと変化していく。

銃の持つ危険性が印象的だった。
仕事仲間から貰っただけでいたものが、カッとなったらそれで殺してしまう。

ハンセン病を持病に持つ人の映画を見たときに、隔離されるのは可哀想だけど希望を持って生きていることの大切さを感じました。
しかし今作の場合は対照的で、病気を持つ故の危険性が押し出され悲劇の首謀者になっています。
悪く言えば病人を放置したおかげで何人もの人が殺された。


アーサーは可哀想だけど、劇中でもカウンセラーや市長トーマス、TV司会者に自らの不幸さを嘆き同情を乞うシーンがある。アーサーは本当に自分が不幸なんだと必死に訴える。
身の上話をしても、彼らは正論、事実を突きつけるのみだった。
トーマスの子供と主張するも、あなたはもともと養子だったと言われる。
事実を受け入れられないアーサーは記録を調べ事実が明らかになる…

アーサーが殺した人々は最初の3人組以外はすごくまともな人たちで、おそらく話がわかる人だったんだけど、アーサーにとっては自らを否定する存在でしかない。
解決策は病気を治すこと、母親を真の意味で救ってあげることだったかもしれない。
しかしそれらを実現することは困難。

映画を観る前はお笑いに情熱を燃やし頑張っていたのに人々の悪意によりジョーカーになっていくのかなと思いましたが…コメディアン要素はほぼありませんでした。ノートにネタを書いてると思ったらほとんど関係ない…

高い笑い声を聞くとしばらくアーサーを思い出してしまいそう。
ひたすらシリアスであり、アーサーの取り巻く環境の複雑さ、事件が起きてからの下り坂を降りていく感じなどが、終始緊張感を持って見れました。


スコアは難しいですが、見終わった後のモヤモヤ感はトップクラスなので4.0。
モヤモヤ系は点数低くなりがちですが、この映画は観た人に何か刻みつける物があると思います。
個人的には蛇にピアスを観た時以来のモヤモヤ感でした。

謎な点として冷蔵庫に入ったアーサーはなんだったのか不思議です。
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