世間で評価されるほど思った以上にすごい映画とは言えないが、個人的には良作と思える作品。まぁ何よりもホアキン・フェニックスの演技は素晴らしいという一言に尽きるが、ジョーカーというヴィランを描くには失敗しているのではないかという印象は拭えない。言うなれば、ジョーカーというのは理不尽な意味で善悪が欠如している存在なのであり、作品自体はジョーカーを主体にしてやる必要がないと言わざるを得ないのである。決してつまらない作品ではないが、果たしてジョーカーとしてやるべきだったのかはかなり疑問に思うところである。
とはいえ、一個の作品としてみた場合、今作が優れたものであることは否定しない。時代背景として、資本主義に対して強い疑念を抱かれている時代、こういう弱者を社会がどう掬い上げるのかはよくよく考えられて然るべきである。
