アンビ

ジョーカーのアンビのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
3.9
映画ダークナイトで、狂気の悪役としてバットマンを苦しませたジョーカー。今回は、そのジョーカーの生い立ちや背景にスポットがあてられた映画である。ジョーカーを名乗るのは、急に笑い出してしまう精神異常を抱えるアーサーという男だ。
今回気になったのはアーサーが面談で口にしていた「自分が存在しているのかわからなかった。」という台詞だ。そして、地下鉄で三人を殺めたことをニュースに取り上げれ、「でも僕はここにいる。世間は少しずつ気がつきはじめた」と答えるようになる。
悪いことをして人から注目されることで、自分の存在を確認できたことに快感を覚えたである。

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以下は朝井リョウの記事の中で、『黒子のバスケ』脅迫事件の犯人の渡邊博史受刑者の吐露に、秋葉原通り魔事件の加藤智大受刑者が回答した手記が書かれていた。
渡邊受刑者は、夢破れたワーキングプアとして「極端な行動」や「対抗する存在」を作らないと社会との『つながりの糸』が持てない切迫感があった、と話していました。
つまり、『黒子のバスケ』の原作者を脅迫していたのは、原作者を傷つけるためではなく、自分が生きていくためだった、と。でも、逮捕されたことでそれすら失われてしまい「出所後、どう生きていけばいいのかわからない。多分自殺すると思う」というようなことを述べていたんです。
これに加藤受刑者は「あなたは人を殺さずして有名な犯罪者になれたのだから、その肩書きを活かして犯罪者心理の真実を世の中に伝えていく、というようなことをすればいいのではないか。犯人という肩書きは、一生消えることのない『つながりの糸』なのだから」というようなアンサーを返していました。

要するに、ジョーカーも社会との繋がりを持つために人を傷付ける行為に走ってしまったということが考えられる。

今回のジョーカーの行動は、共感できない点がないかと言われれば嘘になると思ったのが正直なところです。
アンビ

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