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ジョーカーのaiiiiiのレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.8
ホアキン!に尽きる

どんどんシンドくなるだろうと予測できてしまうわけですよね。ジョーカー誕生日までが描かれているわけですから。最後まで観れるかなと心配してしまうくらい、どうしようもなく切なくてシンドイ序盤からのスタート。それはもう絶望的です。

それでも目が離せないのは、ホアキンの素晴らしさに尽きます。弱々しく歪な姿がどんどん狂気を帯びて昇華され完成されていく様が本当に素晴らしいです。

笑い声が苦しみを含んだ叫びであり聞くたびに胸がえぐられていく、人を笑わせたいはずのアーサーから聞こえる笑い声は苦痛を孕む泣き声と行き場のない怒りのようです。

何故でしょうか。。ジョーカーが構築されていく過程が進むほどに、美しく芸術的で震えるほどの蠱惑的さ溢れでてきます。生き生きとした彼のダンスは狂気的で官能的な魅力さえ垣間見れる鮮やかになっていく姿。紙一重で彼はチャップリンのようにもなれたのではないかと思ってしまいます。

精神的病があるが故に生まれる妄想が、ひときわ際立って柔らかく描かれていましな。あぁ少しだけこの世界も信じてもいいかな生きてもいいんじゃない?なんて希望はすぐに粉々になるわけで、現実的で淡い映像があるがゆえに余計に落とされる、というより、やっぱりか..と現実を知った人間ほど思うのでしょう、そして悲しみもより深みを帯び...

孤独という絶望の中、人を笑わせたいという微かな光である彼の願望。それすらも打ち消されそうな現実。笑顔がどんどん猟奇的になっていき、自身の血で完成した時、完璧なジョーカーが誕生していました!

最後の最後まで彼が欲しかったもの人に本当に渡したかったものは愛であって、愛を失うたびに壊れ失う孤独=構築されていく狂気がまた素晴らしかった。そして悲しみの涙が出つつも最後の最後まで、血で作り上げる笑顔に、不協和音の中にある美しさに出会った時のように、泣きながら震えて拍手してしまうのです。
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