凸

ジョーカーの凸のレビュー・感想・評価

ジョーカー(2019年製作の映画)
4.6
最高だった。間違いなくこれは傑作と言って良いと思います。後の時代にも語り継がれるべき映画です。精神病を持った優しき青年アーサーが狂っていってしまったのは街ゴッサムのせい?それとも頭のおかしい母親のせい?市長のせい?でもそんな母親も市長も荒んだゴッサムの被害者とも考えられる、、?という行き場のない憤りがずっとありました。どんどん堕ちていくアーサーの内面とは裏腹に、ジョーカーとなった姿はめちゃくちゃカッコいいというのも皮肉だなと感じました。中盤付き合ってると思っていた彼女は妄想だったことをバラすあのカット割りや、訪問してきたかつての同僚を殺すシーン、そして小さい同僚を襲うのか襲わないかでヒリヒリする場面は、やはり引き込まれずにはいられませんでした。1人の人間が堕ちるところまで堕ちて、その1人が着火剤となって街全体が狂っていく様は、本来負の連鎖であるはずなのにどこか気持ちよく、火と人々に包まれた中でジョーカーが立ち上がる、これ以上ない所まで街が腐敗し切ったシーンはなんとも言えない快感がありました。この負の情景と正の感情の入り乱れているものが僕ら人間は好きなのかもしれません。
凸