カプチンバード

にっぽん昆虫記のカプチンバードのレビュー・感想・評価

にっぽん昆虫記(1963年製作の映画)
5.0
戦後高度経済成長を経て、ビルが立って、スマホを持ち歩くだけでなく、だけでなく、価値観が大きく変わったんだと思う。これがほんの数十年の出来事だ。
特に命や性や子どもについての価値観は今となっては違和感しかない。ある意味大らかで素朴なのが不思議だが、こうした価値観がマスメディアによる標準語化と均質化とグローバル化でなくなっていったのかな?少し寂しい気もする。
私たちの祖父母や父母の生きた時代なんだもん。

本作の主人公であるトメさんは激動の時代を体を売りながらたくましく生きた女性たちの一人だ。
彼女は極度のファザコンで(親父の愛情が深すぎて)田舎で婚姻がうまくいかず、金を稼ぐために東京に出てメイドをしたり、悪い宗教に入って体を売ったり、売春ババアをやりながら生計を立てて、田舎に仕送りしている。

その娘の信子は非嫡出子であるが(こんな子はその当時ゴロゴロいたのかな…)トメの親父と一緒に暮らしている。
この子がどんな人生を送るかがトメさんにとって、観るものにとって大きな救いになるのだが、その選択を迫られる場面はすごくハラハラした。

どんどん価値観が歪んでしまい、自分がもっともなりたくなかった女になってしまうトメさんなので、娘に同じ道を辿ってほしくなく信子の面をぶん殴るが、信子は素朴でありながら、もっとしたたかなのであった…。

どうしようもない悪い男ばかりが出てくるけど、こいつらを見ていると俺って真面目なんだな…と思う。

笑ってしまうシーンがかなりある。キーワードは「チチ」、「処女と猫」…。
唐澤がでんでんさんにしか見えなくなってくる。

Netflixで字幕で見るのをおすすめ。ほとんど訛りで何を言っているかわからないから。
カプチンバード

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