よしまる

ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーションのよしまるのレビュー・感想・評価

4.0
 アップリンクに掛かるも、わずか1週間の公開と知り、12月に休みなんてないのだけれど、万難を排して観に行ってきた。

 ジョーンジェットを知ってる人も知らない人もいろいろと楽しめる構成で、しかしなんといってもジョーンの真っ直ぐな生き様、尖っているようで人望が厚く人懐っこい性格、そしてバブルガムを持ち込んだキャッチーな楽曲、つまり彼女の人となり音となりが素晴らしいのだから、映画も面白くないわけがない!といったところか。

 音楽映画としては、当たり前のことながらもう少しずつライブ映像の尺を伸ばしてほしいという欲は出る。しかしインタビューのみの構成としては直球で見やすく、それゆえに演奏シーンが生きている気がした。

 それにしてもアレだな、アメリカの音楽業界は昔からホントに酷いんだな。薄々わかっちゃいたけれどw
 ブラックミュージックやカントリー&ウェスタンなどは別枠としても、いわゆるポップ/ロック界隈は大手レーベルや評論家筋の力が絶大で、それゆえに新しい波は起こせない。イギリスや日本で火のついたバンドやミュージシャンは数知れず、今でもなおアメリカのチャートではどれも似たようなR&Bか、トランプファンが好きそうなバカっぽいメタル系とか、まあそんな音楽が繰り返し消費されているに過ぎないように見える。知らんけどw

 ま、そんなことはともかくとして、彼女が決して失わなかったもの、今も持ち続けているもの、つまり「信念」。ここんとこ仕事上でモヤモヤが蓄積していたボクは完膚なきまでに打ちのめされた。(映画はタイミングによって見方が変わるw)

 エンディングでは、この映画のサントラに収録された新曲「fresh start」が流れる。まるで30年以上前から存在していたような、ジョーンの自然体の歌詞と声に痺れた。
 読んで字の如くのタイトル、これまでの生き方をおさらいしつつ明日もまた生きていく、そんな彼女の信念が詰まった名曲だけれど、60歳でこんな曲を奏でる女性、世界中を探しても見つけることはできないだろう。