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カプリコン・1のevergla00のネタバレレビュー・内容・結末

カプリコン・1(1977年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【壮大な茶番劇】

火星への有人探査機発射直前…宇宙飛行士は極秘裏に降ろされ、無人の宇宙船はそのまま飛び立った…。

生命維持装置に欠陥が見つかり、もちろん宇宙飛行士の命を守る意味もあったのだろうけど、最優先は国家プロジェクトの「見栄え」。打ち上げまでに2ヶ月もあったなら、他の選択肢がありそうですが…。副大統領が来るようでは延期は無理だということなのでしょうね。そんなに副大統領ではダメなんだな(^^)。

火星再現のセットがよく出来ていて、映像の種明かしを見てしまったような気分になります。火星着陸は、早送りやスローモーションといった単純な小細工で「それっぽく」編集。映画自体も似たように加工されたシーンが度々ありました。

達成には莫大な資金を要する「夢」だからこそ、確実な結果への期待も大きくなる。でもそこには人命が懸かっています。宇宙飛行士の代わりはいても、予算の鍵を握る大統領は(当面)1人で、宇宙開発への関心を高めるための茶番劇が必要だったという筋書きは、軍事費予算獲得などのために政治家や組織が国内でテロを自作自演する話に似ています。本作の筋書きが一層悲しいのは、憧れやロマンの対象となりうる分野でも「世間体」が選ばれ、夢を追う張本人達の命や人生が軽んじられている点です。つまづくことが悪いのではなく、隠蔽し大きな嘘で塗り固めることが悪なのです。失敗や過ちを認められない時点で権威は失墜します。公正に軌道修正しなければ、本来の目標から少しずつズレて行きます。

さすが宇宙飛行士、飛行機くらい余裕だぜと。冷静に状況を分析する能力は、図らずも地球でのサバイバルに役立ちました。どうしても宇宙飛行士3人をメインに追いたくなるのですが、Brubaker以外の人物描写は物足らず、肝は特ダネを追う記者Caulfieldの方で、ちょっとウザいキャラが際立っていました。同じく面倒臭い系?で農薬攻撃!の貪欲じいちゃんパイロットが良かった(^^)。最後の飛行シーンは大スクリーンで観たかった!

Josh BrolinのパパJamesがBrubakerを演じています。苦しい表情をすると息子にそっくり(^^)。普段は昔のChristian Baleに似ているかな。Jamesの今の妻がBarbra Streisand。彼女の前夫がCaulfield役という偶然。

“How much does any dream cost?”
”Since when is there an accountant for ideas?”

“If the only way to keep something alive is to become everything I hate, I don’t know if it’s worth keeping it alive.”
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