おもち

長いお別れのおもちのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
4.0
 認知症がテーマの物語。蒼井優主演。
 校長にまでなった父親がやはり歳には勝てず認知症になり、家族と共に「少しずつ記憶をなくしゆっくりと遠ざかっていく」姿を見届ける作品。
 家族も最初は戸惑い、「あれってさ...つまり、アレだよね?」と言葉にはせずとも察してくるあたりが結構リアル。逆に認知症あるあるの言動をほぼすべて詰め込んでくるあたりはちょっとリアルさに欠けるかなとも思った。うちも認知症に8割足を突っ込んでる親がいるので、そうしたシーンのたびに辛くなって何度も観るのをストップしてしまった。教師の命とも言える本のページをちぎって丸めて食べてしまうのが一番きつかったな。
 そんな父親を支える女性陣も皆大変な生活を背負ってて、認知症介護しつつ自身の家庭も見つつの現実がよく出てた。人生うまくいかず涙している娘に「くりまるな」「ゆ~っと」という意味はわからずともニュアンスだけでやり取りするシーンがほっこりジーンとくる。ボケてても時折素になるというか以前の言動になるから余計に辛いんだよな。妻もとても献身的、もはや妻と認識出来なくなってても毎日笑顔を絶やさずお世話する姿がたくましい。
 これから認知症を持つ家庭がどんどん増えていく時代、こうした作品が大人が観る教科書みたいになったらいいなと思う。何があっても焦らないように、そして自分がなってしまった時はどうするかとか。終盤にはやっぱり尊厳死の選択が出てきたし、そのへんも含めて本人と話し合いが出来るうちにやっておきたいと再確認。暗く重いテーマではあるけど悲観的にならず前向きにさせてくれる感動作だった、オススメッ!
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