riesz77

長いお別れのriesz77のネタバレレビュー・内容・結末

長いお別れ(2019年製作の映画)
3.0

このレビューはネタバレを含みます

中野量太監督が撮った家族もの。石井裕也監督の『ぼくたちの家族』が好きで、テーマが近そうだし、表紙も似ていることもあり気になってた。あとは演技派揃い。

山崎努さんの演技が想像以上だった。どうみても認知症にしか見えない。その70歳のお父さんを支える妻と娘2人。竹内結子も蒼井優も好きな女優さんだけど、姉妹に見えなかった。個々の演技力が光りすぎてた。松原さんという配役がかなり効いてる!

そんなわけで久しぶりに演技目的で観に行ってきましたが、『湯を沸かすほどの熱い愛』には敵わなかった。7年間という時間軸が長い。長すぎるお別れ。

認知症が始まった時点で「別れ」が始まる。お父さんが「帰りたい」と言っていたのが、家族との昔の思い出だったから、これがまた切ない。かつて校長先生だった、しっかりした厳格な父が、介護をしてもらえないと生きていけなくなる日が来る。その現実が、自分の身近な人と重ねてしまうと「この映画めっちゃおもしろい!」とはならない。なれない。誰もが経験しそうな内容だから、リアルで重い。

冒頭の遊園地でのシーン。伏線とわかっていたのに、メリーゴーランドのシーンが特に感動した。お父さんが娘たちに顔を向けようとしても向こうへ回ってしまう。少しずつ笑顔になっていく様子が見れて、お母さんと娘も傘なんかもさしたりして、中野量太監督っぽいなと思いつつも泣けた。
ジャガイモを送ると言ったシーンも伏線だとすぐにわかる。わかりやすいのが逆にいいのかもしれない。

期待していたほどではなかったけど、これからについてたくさん考えることができたので、観れて良かった。家族っていいなと思える話だった。
riesz77

riesz77