おさるのじょじへい

長いお別れのおさるのじょじへいのレビュー・感想・評価

長いお別れ(2019年製作の映画)
4.1
中野監督ファンとしては、やはりオリジナル脚本の方が奇想天外な表現があるので好きなのですが…。
それでも中野原作同様に、あたたかな家族像とコミカルな演出に泣いたり、笑ったり。

それにしても細かな演出の巧みさに、如才なき中野監督の実力を実感しました。
たくさんありすぎて、全ては挙げられない(本当は勿体ないから、挙げたくない 笑)けど、3世代に渡る葉っぱや、介護用椅子も手を挙げている画など、小さな事象だけど物語が点と点が線になっていくようでした。
監督に対し期待を込めて苦言を呈させていただくとすれば、BGMの当て方が王道すぎるところでしょうか。

介護していても穏やかな曜子や、何度呼び出されても怒りもしない芙美に、へそ曲がりな私は「んなわけあるか」となるはずなんです、きれいごとを並べている映画ならば。でも東家はごく普通な家族だけど、愛ある家庭だと胸にずしずし響いたから、あういう心情になるのも納得しました。
東家を見ても、今村家を見ても、両親が愛し合っている家庭は何があっても強いのだろうと感じました。

そして山﨑努さんの演技に、ただただ見ほれました。
監督の指示、衣装さん、メイクさんの技術の高さもあると思いますが、会ったことはないのに、この人が昇平なんだ!と思わされるほどでした。
それも、”長いお別れ中”の昇平が。