19世紀末から20世紀半ばまでフランスに実在したグラン・ギニョール劇場の花形女優だったポーラ・マクサにスポットライトを当てたフレンチムービー。
彼女は劇場において犠牲者の役を演じることが多く、10,000回以上も舞台上で殺害されたという逸話が本作のタイトルの由来だ。
演じるのはアナ・ムブラリスという女優で、これがなかなか美人。既視感強いなと思ったけどおそらくケイト・ブランシェットに似ている。なんならハスキーボイスまで。
いやアナのほうはハスキーを通り越して酒焼けに近いが。
冒頭で自分の殺されパターンを列挙するアナがなかなかカッコイイぞ。
肝心の物語はなかなかとっ散らかっていて、様々な要素(「とある男の狂気」「アンナの妄想癖」「新聞記者の末路」)が一人歩きを始め、それぞれが本作の良さを潰しあっていた。
一つ面白い発見があった。
ネットフリックスらしく、本作はゴア描写が多く完成度も高い。
僕はゴア描写というものが少々苦手で血が噴き出た場所を手で隠したくなってしまうのだけれど、今回に限ってはそんなことがなかった。
なぜかというと、本作はゴア描写という作り物を"作り物として(舞台上の演出として流血が発生する)"スクリーンに映しているからで、僕の脳は「これは舞台上の演出」と解釈しているらしい。
要するに映画における様々な描写はコンテキスト次第で180度感じ方が変わるということを実体験できたのだった。