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世界で一番殺された女のYSKのレビュー・感想・評価

世界で一番殺された女(2018年製作の映画)
2.6
かつてフランスに実在したグラン・ギニョル劇場という下品で凄惨で悪趣味な見世物小屋、そこで看板女優として日々首を落とされ、心臓を抉り出され、四肢を切断されていたポーラ・マクサの伝記のような作品

まずは主人公たるポーラ・マクサではなく、彼女が看板女優として活躍していたグラン・ギニョル劇場に興味を惹かれましたね
舞台劇場というよりアングラな見世物小屋に近く、その劇も悪趣味極まりないものばかり
もちろん現代の映像技術で再現したものですから当時から同じクオリティで演じていたわけではないでしょうが、日々趣向を殺した残酷で凄惨で人様にはお見せできないような出し物ばかりだというのですからたまりませんね
だっていくら血のりとはいえ切り落とされた首から噴き出した血が客席まで飛んでいくのですから、これも当時だからできたものなのでしょうか

そしてそんな舞台の看板女優にして日々あの手この手で殺されていたのが主人公のポーラ・マクサ、憂いを帯びた表情を見せる美女が見るも無残な姿に変えられていく様を間近で堪能できるのですから好事家たちがこぞって押し寄せるのも無理はありません

というわけでグラン・ギニョル劇場という悪趣味な舞台と、惨たらしく殺されることで名を馳せた看板女優、そして彼女に付きまとうストーカーや「切り裂きジャック」的な要素を見事にブレンドしたこの作品ですが、資料的な価値があるかどうかは別としてエンターテイメントという目線で見るとかなり面白くないからすごくないですか?
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