エイデン

ヲタクに恋は難しいのエイデンのレビュー・感想・評価

ヲタクに恋は難しい(2020年製作の映画)
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ゲームやアニメが大好きなヲタクで腐女子という一面を持つ成海は、付き合っていた彼氏にヲタク趣味がバレて別れを告げられ、勤めている会社にまでバラされて居づらくなってしまったため、IT企業“株式会社ロケッツ”に転職する
今度こそ周囲にはそれを一切バラさないようにと考える成海だったが、早々にここで働いていた幼馴染で無愛想なゲームヲタク宏嵩と高校ぶりに再会してしまう
すぐさま彼を飲みに誘った成海は、ゲームをしながら口止めを頼む
承諾した宏嵩だったが、彼は成海とは違ってヲタクであることを職場でも秘密にしていなかった
近況について話し合っていたところ、互いに恋人がいないこともわかり、宏嵩は唐突に自分と付き合えばいいと言い始める
一笑に伏した成海だったが、今度のコミケの売り子を手伝うという申し出を聞き、二つ返事で付き合うことに
翌日 出勤した成海は、同僚の森田から宏嵩と付き合っているのかと聞かれ、気恥ずかしさから嘘をついてしまう
一方の宏嵩はヲタク友達の同僚 坂元から、成美と付き合っているのかと聞かれ、気にすることなく肯定する
それから慣れないながらも恋人同士として互いを理解していく2人
そんな中、宏嵩はヲタク趣味を隠して過ごそうとする成海のためを思い、“ヲタク改善計画”と題して、簡単にバレることが無いような振る舞いを身に付けさせようと奔走するが、果たして2人は普通の恋人らしい関係になれるのか



ふじた原作の同名漫画を実写化した作品

タイトルの通り不器用なヲタク男女を題材にしたラブコメ映画
アニメやゲーム、そしてヲタクとしての習性をネタにしつつ、しょうもない笑いを誘っていくという、福田雄一監督節が随所に差し込まれた作品になってる

ヲタクを題材にしていくネタ姿勢に異論は無いけど、妙なネタの濃さに加え、テンプレ的な2000年代くらいのヲタク像がスクリーン内に蔓延してるのはさすがに気になる
邦画コメディ特有のオーバーリアクションなキャラがヲタク用語を使いこなし、画面を蠢く姿は人によっては共感性羞恥で死ぬと思うし、人によっては中高生くらいにヲタク仲間で話してたノリを思い出して共感性羞恥で死ぬと思う
微笑ましく観られれば良いけど、逆に冷静に画面観てるとヲタク嫌いになりそうになるというジレンマに陥った

加えてここに恋愛要素が絡むわけだけど、コメディに寄りすぎてて印象ぼやけてるのが正直なところ
タイトル通り恋に苦戦するヲタク像は確かに描かれてはいるけど、心境もよくわからないヲタク世界に侵食されているので共感しづらいし、ロマンス描写もぶっちゃけよくわからない
同じヲタクが恋する作品なら『電車男』のが読後感は良かったかな

加えてここにミュージカル要素も入るというわんぱくっぷり
チャレンジングな姿勢は悪くないとは思ったけど、原作にももちろん無いので誰得感はどこか感じてしまった
加えて『ラ・ラ・ランド』や『オペラ座の怪人』っぽい名作ミュージカルのオマージュっぽいものまで入れていて、さすがに需要と供給ガン無視なのではと勘繰ってしまう

ヲタクの解像度としては、今はもう令和だと教えてやりたいレベルだし、諸々ポンコツ度合いが凄まじい作品
ヲタクの皆さんや恋愛映画好きにウケる内容かと言われると首を捻るばかりではあるけど、監督のファンにとっては良い塩梅の緩さがある作品にはなってるかなと思うので観ましょう
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