Foufou

悪魔はいつもそこにのFoufouのレビュー・感想・評価

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)
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アメリカ思想の源流には、ベンジャミン・フランクリンとジョナサン・エドワーズの二人がいると、大昔に受けた語学の授業でエラい先生がいってたのをふと思い出す。先生いわく、前者は避雷針の発明につながる凧揚実験に代表される実証主義的な思想の、そして後者は大覚醒運動に象徴される原理主義的キリスト教信仰のそれぞれ体現者であったと。以来、アメリカについては、政治であろうが文化であろうが、この二つの思想軸で読み解くクセがついたのでもあるが、考えてみれば、こうした対極的ともいえる解読格子は、なにもアメリカばかりに通用するするものじゃないなあとも。

とはいえ思い出した以上、狂信スレスレアメリカ的原理主義のカリカチュアとして本作を見ているわけでした。だから興味深いし、いかにもそこにアメリカのまた一つの側面がグロテスクに描かれていると思うわけ。

登場人物らがみんなして自分勝手な解釈による原理主義を貫いて、悲劇を量産していく。その最果てに太平洋戦争やらベトナム戦争やらがあり、カーラジオがジョンソン大統領の声明を発表するあいだ、トム・ホランドが大欠伸するのは、もうなにもかも陳腐で退屈だということですよね。

ただそこに一縷の神の導きの糸がピンと張ってるようなのが、この映画の脚本の,あるいは原作の妙ですね。神罰と恩寵がそれとわからぬよう綯い交ぜになっている。だから最後まで目が離せません。

なかなかないテイストの秀作でした。地味ですけど、派手さに誤魔化されるより全然いいですよ。トム・ホランドがこういう映画に出ているというのもなんだか尊い。

しかしフォロワーさんのレビューを見て鑑賞しましたが、よくまぁ見つけてくるなと改めて感心します。
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