祈りと、暴力と、血。
たくさんの伏線があった上でのラスト。
その展開と円環構造にカタルシスを覚えた。
様々な登場人物と事情の絡み合った脚本の構成がとても巧みで、重厚感のある小説的な語り口が好みだなあと感じていたら、やはり小説が原作。
オスカーの脚色賞にノミネートされそうな予感。
映画館でも観たくなる。
「強欲と、信仰と、血」といったモチーフを描いた、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(名作!)にも通ずるものがあった。
「父と息子」を描いていた点でも。
ただ、物語の繋がりで物足りないところが多少あったので、脚本の段階でなのか、編集の段階でなのか、時間の関係で削ってしまったシーンがあったのでは、と推測。
もしもそうであったならば、個人的には3時間あっても全く問題無しなので、是非とも描いて欲しかった。
原作となった小説も読んでみようかな。
それはさておき、アントニオ・カンポス監督の作品を観るのは初めてだったのだけれど、次回作にも期待しちゃいます。
(でも苦手な人も多そうなので本作を積極的に薦めはしません)
にしても、こんな豪華キャストで撮れるだなんてすごいなあ。
まず、主演のトム・ホランド、安定の好演でした。
演技はもちろん、声が特別に素敵なんだよなあ、彼は。
スパイディの時にもいつも感じる。
これからもどんどん様々な役をやってください。
あと、ロバート・パティンソン神父の怪演。
やー、気持ち悪くて嫌な奴だった。(褒めてます)
「キング」と「TENET」でもそうであったように、引力のある演技。
彼のバットマンは楽しみだし、もっとおじさんになってからの演技も楽しみ。
(スケジュールの都合で降板したクリス・エヴァンスが演じた神父のバージョン、或いは、本作のプロデューサーだったジェイク・ギレンホールが演じた神父のバージョンも観てみたくなる)
以下、観ていて驚いたことをいくつか。
・ミア・ワシコウスカの出演。(ファンなので嬉しいサプライズ)
・アスペルガーでもペニー・ワイズでもなかったビル・スカルスガルドの演技。(新鮮で良かった)
・セバスチャン・スタンが太っていて気づかなかった。(役作りだって)
・ヘイリー・ベネットが太っていて気づかなかった。(役作りではなさそう笑)
・ナレーションがやたら良い声だなあと感心していたら、原作者のドナルド・レイ・ポロックの声なんだって。