たけひろ

悪魔はいつもそこにのたけひろのレビュー・感想・評価

悪魔はいつもそこに(2020年製作の映画)
4.0
祈りと、暴力と、血。

たくさんの伏線があった上でのラスト。

その展開と円環構造にカタルシスを覚えた。

様々な登場人物と事情の絡み合った脚本の構成がとても巧みで、重厚感のある小説的な語り口が好みだなあと感じていたら、やはり小説が原作。

オスカーの脚色賞にノミネートされそうな予感。

映画館でも観たくなる。

「強欲と、信仰と、血」といったモチーフを描いた、ポール・トーマス・アンダーソン監督の「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(名作!)にも通ずるものがあった。

「父と息子」を描いていた点でも。

ただ、物語の繋がりで物足りないところが多少あったので、脚本の段階でなのか、編集の段階でなのか、時間の関係で削ってしまったシーンがあったのでは、と推測。

もしもそうであったならば、個人的には3時間あっても全く問題無しなので、是非とも描いて欲しかった。

原作となった小説も読んでみようかな。

それはさておき、アントニオ・カンポス監督の作品を観るのは初めてだったのだけれど、次回作にも期待しちゃいます。

(でも苦手な人も多そうなので本作を積極的に薦めはしません)

にしても、こんな豪華キャストで撮れるだなんてすごいなあ。

まず、主演のトム・ホランド、安定の好演でした。

演技はもちろん、声が特別に素敵なんだよなあ、彼は。

スパイディの時にもいつも感じる。

これからもどんどん様々な役をやってください。

あと、ロバート・パティンソン神父の怪演。

やー、気持ち悪くて嫌な奴だった。(褒めてます)

「キング」と「TENET」でもそうであったように、引力のある演技。

彼のバットマンは楽しみだし、もっとおじさんになってからの演技も楽しみ。

(スケジュールの都合で降板したクリス・エヴァンスが演じた神父のバージョン、或いは、本作のプロデューサーだったジェイク・ギレンホールが演じた神父のバージョンも観てみたくなる)

以下、観ていて驚いたことをいくつか。

・ミア・ワシコウスカの出演。(ファンなので嬉しいサプライズ)

・アスペルガーでもペニー・ワイズでもなかったビル・スカルスガルドの演技。(新鮮で良かった)

・セバスチャン・スタンが太っていて気づかなかった。(役作りだって)

・ヘイリー・ベネットが太っていて気づかなかった。(役作りではなさそう笑)

・ナレーションがやたら良い声だなあと感心していたら、原作者のドナルド・レイ・ポロックの声なんだって。
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