【イランだって航空アクション】
珍しやイラン製戦争アクション、と借りてみたが、MDGP2018上映物件だったのね。型は航空パニックに近かったが、日本に入ってこないだけで、こうした娯楽映画もイランでは普通に作られている…と再確認できただけでも収穫。
で、質も中々。シリアの同胞を助けるイラン人パイロット、という設定だから、検閲も問題ないのだろうか。
ISに包囲されたパルミアに、パイロットを失った輸送機と同胞らが籠城。そこに潜入し、ダマスカスまで輸送機を飛ばそうとするイラン人パイロットらの物語。
映像演出は小気味よく、日々戦争している国ならではの説得力もある。爆風の煽りで首チョンパなんて、ハリウッドじゃ出て来ない。
戦闘用車両の装甲がカスタマイズされ、まるでマッドマックスなのだけど、実際そうなんだろうね。
相変わらず、同じ神を拝んでいる派閥同士が争う様子は誰でもわかるアホらしさだけれど、圏内文化がわかればより面白かろう、というところも多々。事情通に解説して欲しいと思った。
ロシア製実機がバンバン出てきてミリオタは嬉しいのでは。一方、CGは安っぽいので、肝心の所でシラケたりはしますね。
舞台は2011年の設定だが、ISの力が衰えたからこういう話も作れたのでしょう。例の、橙色の囚人服?もカナリ出てきますが、出て来るだけで死が匂ってイヤな気分にさせられます。
物語は面白さ優先で二転三転しますが、ISの勢力は弱まったとはいえ、死に絶えたわけじゃないから、最後の計画が荒唐無稽とは言えないと思った。そこが本作の恐ろしいところ。
何にせよ、こういう映画…イランでは当たり前に作られている娯楽アクション…も見ておくと、映画眼の視野が広がることは間違いないことでしょう。
<2019.2.16記>