べべし

選挙に出たいのべべしのレビュー・感想・評価

選挙に出たい(2016年製作の映画)
3.5
元中国人の民主主義に対する想い

約50年間、在日中国人として生きてきた李小牧だったが、民主党党首海江田万里の後押しもあり日本国籍を取得、2014年に新宿区議会議員に立候補を果たす。李小牧が中国人として、外国人として民主主義国家を見た姿、また国籍を取得して日本人として見た第二祖国の姿を映す。

結果として李小牧は落選をする。彼のやり方、政策は全てが賛成できるものではないと思うが、彼が思う真のグローバル社会の形、外国人の待遇の向上など、在日中国人に対する日本の対応の実態が明らかになった。

特に日本人が中国人に対するマイナスなイメージ。私はかなり共感できない内容が多かった。中国人は犯罪を起こす、騒音がやまない、不法滞在など。正直何一つ私は中国人に対して抱いていなかった印象を語る日本人も居て、特に2020年の今その考えをする人間は少数であると思うが日本を変えようとしている李小牧の姿は感動した。

歌舞伎町のクラブのオーナーが「裏も表もわかっている人じゃないと変えられない」と述べていたのは納得した。実際なぜ日本人が(特に若者が)政治に興味関心を持てないのかと言うと政治家はどうしても敷居が上の人物、身近に感じない、実際に変わると思えない。といった理由が私は浮かんだ。しかし李小牧はこれらがない。自転車で町中駆け回り、外国人だからこその視点でなにか変えてくれるのではないかと期待を抱く。

実際に私は新宿区民ではないしましてや東京都民でもないので投票権はないが、当選することが全てではないのかもしれない。日本の政治の現状、そして民主主義国家の欠点など、この映画ひとつで沢山伝わってきた。これは選挙に当選するよりも日本人に対しての影響力を持つのではないかと考える。そのため、多くの人にこの映画に触れて欲しいと考える。
べべし

べべし