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居眠り磐音のodyssのレビュー・感想・評価

居眠り磐音(2019年製作の映画)
4.5
【時代劇は死なず!】

期待以上の出来でした。
少し前に見た『多十郎殉愛記』がイマイチだったので、時代劇はやはり滅びつつあるのかと案じていたのですが、本作を見ると、時代劇は死なずという気持ちを強く持てました。

まず、脚本がよくできている。時代劇だから殺陣のシーンは必要ですが、それを十二分に満たしながら同時に頭脳戦の様相もしっかりと描き込んでいる。

キャストも充実しています。
まず、私のひいきの女優である木村文乃。時代劇でもチャーミングだし、出番も結構多くていい。
次に、やはり私のひいきである中村ゆり。花魁の役ですが、その美しさには、思わずくらっと来そう。

しかし男優陣の充実ぶりは女優を凌いでいますね。

まず、木村文乃の父役の中村梅雀が、ぴったり。こういう味が出せる男優がいない映画はつまらないんですよね。
次に今津屋主人の谷原章介。ハンサムだから、こういう「正しい商人」の役が合ってます。

悪徳商人の柄本明がまた最高。彼の刺客たちも、いかにも悪そうで、はまっています。ついでに、柄本明は息子・柄本佑と共演を果たしたわけですね。もっとも、一緒に出るシーンはなかったけれど。
クライマックスで登場する陣内孝則や早乙女太一らも、作品の彩りを豊かにしてくれています。

というわけで満足度の高い作品ですが、以下で若干の批判も。

ピエール瀧の代役で奥田瑛二が出ていましたが、奥田は悪役にはあまり向かない感じで、もとのままで上映して欲しかったな。

芳根京子がどうして準ヒロインの役どころなのか分からない。美人でもなければ可愛くもない女優は、せいぜい端役の女中で沢山です。

作中、今津屋主人が、豊後の事件と江戸の事件はつながりがあるかもと言うシーンがありますが、その後の筋書展開に活かされていない。脚本上の難点でしょう。
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