よし

居眠り磐音のよしのネタバレレビュー・内容・結末

居眠り磐音(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

この映画は不思議な映画で大衆映画なのに離俗的要素も持っているように思います。

うだつの上がらない浪人が実は剣の達人で、襲いかかる剣客たちを次々と倒していくというエンタメ性。許婚の兄を斬ってしまうまでのドラマチックな展開。
磐音を取り巻く環境は活気があって、磐音がどれだけ静かに暮らしたくても周りはそれを放っておかない騒がしさに溢れています。見ているとワクワクして、次はどうなるんだろうという、勧善懲悪な映画を観ているとよくあるんですが、安心しながらもドキドキして映画を観ることができます。

逆に奈緒を描くシーンは静かでそして孤独です。彼女を見ていると修行僧という言葉が浮かんでくるのですが彼女のシーンが面白くないかと言えばそうではなく、少ない言葉の中に多くを含んでいて想像を掻き立てる面白さがあります。


磐音と奈緒のそれぞれのシーンは別の映画を観ているように思える程違うのですが、雪が降るシーンからようやく二人の世界が歩みより始めたように感じました。

雪は奈緒にとって今直面している苦しさの象徴であり、磐音にとっては失った過去を思う苦しさなんです。

磐音の世界の描き方は動的で奈緒の世界は静的、そして、磐音は過去を引きずって、奈緒は今を生きている、この二人の対比が面白く、私は同性だからかもしれないですが奈緒がとても切なかったです。
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