【短い感想】
超初心者向けの時代劇映画といった印象。
小説的な部分には目を瞑るとしても、テロップがあったり、状況説明をセリフでしっかりしてくれるのは日本映画の悪い癖。
セリフの文法を含む時代考証の素晴らしさと照明の薄暗さは好感が持てるけど、回想の劇画風色彩の方がオリジナリティもアート性もあっただけに、全編そっち(の色味)にした方が絶対に面白くなったはず。
綺麗にまとまった仕上がりにはなっていたけれど、バストショットが多いので大画面でテレビ映画を観ているような気分になる。殺陣のシーンにおいても全く引きのショットを挟み込まないし、柱を回り込むカメラワークによってモロ柱が映り込んでいたり、カット割りや顔のアップも多い。黒澤明の時代劇やマキノ雅弘の任侠映画の殺陣から何も学んでいないのか? エンタメ商業映画の範疇であったとしても、2019年の日本の時代劇映画でこれは無いだろう…と思わずにはいられないシーンの連続だった。
俳優陣の演技や脚本は良いだけに、ネックとなっているのはやはり監督の演出。あと柄本明は志村けんのコントの役なのかと錯覚するほどにしぶとい。笑