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ホットギミック ガールミーツボーイのtetsuのレビュー・感想・評価

4.2
ミニシアターで作家性を貫きつつも、シネコンで近年の少女漫画実写化を打ち破ろうとしている日本映画界のジャンヌダルクこと山戸結希監督最新作ということで鑑賞。
(前置きが長ぇ...。笑)

人からの頼みは断れない女子高生・初(はつみ)と彼女を取り巻く3人の男たち。
様々な感情に揺れ動く彼女が選ぶのは一体、誰なのか...。

登場人物全員クソ野郎のはずなのに、
不覚にも、ふとドキドキしたり、
気持ちが揺れ動いてしまったり、
映画館の暗闇の中にいる自分を俯瞰して考えていると、これからも映画内でしか恋愛を経験できず、イケてないおじさんになっていく未来が浮かんできてゾッとして泣きそうになった。
新種のサイコホラー。

それにしても本作の評価が真っ二つに分かれているのは本当に面白い。
僕自身は登場人物に重ね合わせられる人物をこれまでの人生で全く見たことがないのでフィクションと割りきって見ることが出来たけど、もし似たような人を知っていたら、終始イライラするだろうなぁ~と思ったり。笑
(まぁ、こんな臭いセリフを言う人間なんて、この世に存在しないか。笑)

僕の周りで、本作を高評価してる多くが男、低評価している多くが女性という事実を考慮すると、男子受けは良いけど、女子受けの悪い女の子みたいな映画なのかも。

結局のところ、「可愛いから好きになる」と安易に考えてしまう思考は自分にも少なからずあることに気づいたので、もっと人の内面の魅力に気づいて、人を好きになれる人間になりたいと思いました。(至極、どうでもいい。笑)

内容はさておき、
高速な切り返し、
クライマックスの畳み掛けるショット、
一瞬を切り取る写真の見事な使い方などなど、
才気がほとばしった演出の数々をみていると、
山戸結希監督が現代の日本で唯一、プロパガンダ映画を撮れる逸材だと思ってしまった。

参考
「映画の女の子、の依拠する三角関係に差し当たって」
https://youtu.be/bob7klNeesQ
(本作に合わせて作られた短編。こっちでは、しっかりミニシアターモードの監督が爆発しています。)
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