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プライベート・ウォーのSY3KRのレビュー・感想・評価

プライベート・ウォー(2018年製作の映画)
4.0
シリアやレバノンの内情を取り上げてきたドキュメンタリー作家のマシュー・ハイネマンが、実在の人物を主人公に描く伝記ドラマ。

これまでドキュメンタリー作家としてのハイネマン監督しか知らなかったものだから、率直に「こんなこともできるんだ」と驚かされた。とはいえ、現地に突入し事件関係者にインタビューをする様子はドキュメンタリーさながらで、彼らしさは失われていない。

メリー・コルヴィン氏を取り上げたのも納得の人選だ。実在の人物を主役にするとき、ある程度映画的な脚色は仕方ないと思うが、彼女は生きざまが凄すぎる。どんなに脚色を施しても、「本当の話なんだろう」と信じさせるダイナミズムに溢れているから、まるで違和感がない。

更にそれを後押しするのが、ロザムンド・パイク圧巻のパフォーマンスだ。これがキャリアハイと言っても過言ではない。顔つき・声質・身振り、そして精神性に至るまで、完全にメリー・コルヴィン氏に成りきっており、物語に多大な説得力を与えた。

マスコミの私利私欲に満ちた報道には日頃ウンザリさせられるが、彼女は真実のために死ぬまで戦い続けた。本作はそれを信じさせる力を十分に持っており、ハイネマン監督のフィクション作品として最高のデビューを飾る形となった。

●トマトメーター
・批評家支持率:88%
・観客支持率 :62%
「本作は、最前線に立つジャーナリストに求められる犠牲を冷静に評価し、ロザムンド・パイクのキャリア最高の仕事ぶりによって、現実の題材に敬意を表している。」
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