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ムルゲ 王朝の怪物のうにたべたいのレビュー・感想・評価

ムルゲ 王朝の怪物(2018年製作の映画)
3.8
韓国の怪獣歴史特撮映画。
ムルゲとは物怪という意味だそうです。

李氏朝鮮時代から編纂された実在の歴史録『朝鮮王朝実録』に記載されている事件が元になっています。
そこには中宗の政権時代(中宗6年/1511年)にムルゲが現れ、その後、1527年には宮殿で暴れたため、退居を余儀なくされたとあります。
また、ムルゲの正体として、先王10代国王燕山君の趣味が絡めてあります。
ファンタジーですが、歴史ロマンが感じられる作品です。

燕山君が廃位され中宗が王位に就いた朝鮮王朝。
だが、即位して間もなく国内に疫病が蔓延、感染を食い止めるため、疫病にかかった疑いのある者はろくに検査もされないまま処分された。
主人公は、元・中宗王に使えていた将軍「ユン・ギョム」で、現在、元部下の「ソン・ハン」、疫病者の死体の下から救い出された「ミョン」と共に猟をして暮らしています。
ある日、仁王山から現れた怪物(ムルゲ)が民を襲っているという話が中宗王に伝わります。
中宗王は、ムルゲの噂は側近である「領議政」の企みによるものと考え、宣伝官にギョムの元へ行き、ムルゲ調査の協力を請う。
ギョムの山小屋を直々に訪れた中宗王は、ギョムに国外退去を命じた理由を述べ、もう一度、内禁衛将の剣を取って欲しいと望む。
画して、ギョムはミョンとハンと共に、都へ向かう、という展開で、ムルゲ騒ぎと王朝内の権力争いが並行して進む構成になっています。
果たしてムルゲは本当にいるのか、はたまた人民を混乱させ王位の失権を狙う奸臣の罠か。

結論としてムルゲは現れ、王宮内で大暴れをします。
ポスターデザインの背面で吠えているのがそのムルゲですね。
結構独特な体格をしていて、丸い頭にゴリラのような両目、巨大な口を持っていて、全体的にマッシヴな四足の猿のようなデザインです。
動きがかなり素早く、逃げ惑う調査隊をなぎ倒し踏み潰して、頭から捕食する姿は、まさに怪物としか表現できないです。
武器による攻撃は一切効かず、おまけにムルゲの血液に触れると疫病にかかって死んでしまうという無敵生命体です。
恐ろしく強く、かつ醜悪な見た目はインパクト抜群で、怪獣好きの琴線に触れる化け物だと思います。

ストーリーのテンポもよく、程よくホラー、程よくギャグが挟まっていて退屈させませんでした。
ラストもご都合主義感がありましたが、全体的にエンターテイメント性の高い良作だったと思います。