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シルクウッドの一人旅のレビュー・感想・評価

シルクウッド(1983年製作の映画)
5.0
マイク・ニコルズ監督作。

『卒業』(67)、『イルカの日』(73)の鬼才:マイク・ニコルズが実在の労働組合活動家:カレン・シルクウッドの実話を映画化した社会派ヒューマンサスペンスの力作で、名女優:メリル・ストリープが不屈のヒロインを熱演しています。

本作は、原子力関連企業であるカー・マギー社の核燃料製造プラントで作業員として働きながら、同プラントで行われていた不正と放射能による人体被害の危険性を訴えた実在の労働組合活動家:カレン・シルクウッド(1946-1974)の軌跡を映像化した実録ドラマで、会社側の不正の実態を把握したヒロインがその事実を仲間達との組合活動の中で白日の下に晒すべく奮闘していく様子とその後NYタイムズの記者に接触するための途上で謎の事故死を遂げるまでの過程を、同じプラントで働く恋人:ドルーやレズビアンの女友達:ドリーとの共同生活&関わりを軸に映し出しています。

シルクウッド事件として当時センセーショナルに報道された原子力スキャンダルを、核燃料製造に係る不正と労働環境改善の訴えの中心人物であったカレン・シルクウッド自身の視点によりサスペンスフルに再現した社会派サスペンスで、会社の労働組合の中で存在感を増していくヒロインの姿は同じく実在の女性活動家を描いた『ノーマ・レイ』(79)を彷彿させますが、ノーマ・レイが従業員の支持を集めていったのに対し、本作のカレン・シルクウッドはその熱心さが仇となり次第に社内で孤立化していきます。

いかなる圧力にも屈することなく会社に立ち向かい、謎に満ちた悲劇的末路を辿った不屈の女性活動家:カレン・シルクウッドの波乱の生き様を描いたマイク・ニコルズ監督作品で、主演のメリル・ストリープをはじめ、ドルー役:カート・ラッセル&ドリー役:シェールが三者三様の名演を魅せています。
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