Omizu

シルクウッドのOmizuのレビュー・感想・評価

シルクウッド(1983年製作の映画)
3.8
【第56回アカデミー賞 監督賞他全5部門ノミネート】
『卒業』マイク・ニコルズ監督がカレン・シルクウッド事件を映画化した作品。ゴールデングローブ賞ではシェールが助演女優賞を受賞、アカデミー賞では監督賞、主演女優賞(メリル・ストリープ)、助演女優賞、脚本賞、編集賞にノミネートされた。

実話ベースのシリアスな話であるが、『めぐり逢えたら』などのノーラ・エフロンらが脚本を手掛けたということもあってかサスペンスというより人間ドラマに重きを置かれている。

原子力を軽視する会社に対し労働条件改善を訴えていたカレン・シルクウッドの謎の死までに至る彼女の生き様をリアリティーたっぷりに描き出している。

元夫との子供、現夫や同居人との関係が物語を引っ張る。実話ベースのサスペンスだと思って観ると期待とは違うかもしれない。「どう彼女は生きたのか」という回顧録のような作品になっている。

いささか長いとは感じるが、メリル・ストリープ、シェールなどの実力派俳優による演技によって見応えのある作品になっている。ラストの救いのなさは凄い。それまでは辛い展開ではあるものの割と暖かな視線で描いている分、急に突き放されるような気分になる。

原子力の現場で働く人々、彼らを支配する会社の傲慢を暴き出すような社会派サスペンスであり、一人の女性の生き様を描いた人間ドラマでもある。マイク・ニコルズ監督とノーラ・エフロン脚本、メリル・ストリープ主演というタッグでしか味わえない独特の作品になっていると思う。
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