YasujiOshiba

ザ・サイレンス 闇のハンターのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

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ネトフリ。23-51。90分のリズムがよい。まとまってる。余分なものがない。テンポよく始まって、つべこべ言わずにラストショットで決める。ハンディを持つ者たちにアドヴァンテージが得えられるというお話し。

たしかに、同時期にリリースされた『クワイエット・プレイス』(2018)やハンデのタイプは違うけど『バード・ボックス』(2018)などに通じるものがある。いわゆるポストアポカリプスものなんだけど、勝負するのは映画としてのアイデア...

おっと、ここからはネタバレしますのでご注意!

泣き止まない赤ちゃん、吠え続ける犬、喘息持ちの祖母なんて設定で、音をたててはならない世界にぼくらを引き摺り込む。郊外の柵で囲まれた一軒家を持ち出してきて、「ここはプライベートプロパティだ」と叫ばせるクリシェはほんの導入。

芝刈りマシーンにコウモリもどきの地下の怪物たち(vesps)を吸い込むシーンなんて拍手ものだし、やっぱりあの怪物たちだけじゃもの足りない。ありとあらゆるポスアポ映画で描かれるのは、非常事態で露になる人間の闇。だからあの不気味な牧師を登場させてきたわけだ。

あの神父とそのカルト、思い出すのはもちろんあのブランチ・ダビディアンであり、この狂信的な教団を率いたディビッド・コレシュ。画像を検索したら、なんとも似てるよね。きっと意識してるんだろうな。

それにしても時限爆弾ならぬ携帯電話を腹に巻いた少女なんて、あっと驚いちゃった。そしてその後の闇の中の沈黙のアクションもおみごと。ラストも簡潔で明るめのオープンエンディング。

お父さん役のスタンリー・トゥッチはイタリア系。友人にもトゥッチくんがいるのだけれど、顔まで似てるのにニヤリ。娘アリーのキーナン・シプカは目がポイント。かわいくて力がある。だからあのラストでよいんだよね。

ああ楽しかった。
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