冒頭現れる突然のピエロに度肝を抜かれたのは言うまでも無い。
そしてそのピエロに全体の要素としてどれだけの意味があったのか最後まで計りかねたのも言うまでもない。
内面という意味ではあまり好きな表現方法ではなかった。
途中明らかに不必要な尺稼ぎがあったのもちょっとね、という風だけど。
思いの外面白かった。
原作漫画は読んでいたし、アニメもみた。
何なら実写映画だってみている。
その上でまさか中国版の実写カイジをみることになろうとは。
実写邦画に比べればいくらでも面白い。
カイジの設定が丸っきり変わっててもう少し万人が感情移入しながら楽しめる状況になってる。
ゲームが始まってからは内容、理屈、仕掛けが視覚的にも分かりやすくなる工夫があり、何も知らずに観る分にはゲーム以外が胸焼けするかもを除けばそれなりに良質なエンタメだと思える。
いやしかしただし、私は捻くれた人間である…!
私が漫画アニメで楽しんだカイジはまさにカイジ本人に他ならない…!
どうしようもない駄目人間なのに悪党的なクズではないし、ちょっと可愛いところもある。
誰でも大体信用して騙されて、流されてるくせに。直感して、考えに考え抜いて弾いた答えには確固たる意志を持つことができる。
自分の直感と死ねる、アカギの血が混じってる。
そんなカイジを見るのが好きだった。
からこそ、今作のカイジには人間臭さがどうしても足りてこない。
感情移入の幅ってのは本当にこういう事なのかね。
このカイジは確かにちょっと変なところはあるけれど、幼少期に(映画らしいエピソードとして)家庭の不幸を経験していること以外はクズでも無いし、頭脳だって元々が優秀な知性派で普通。
漫画カイジのあらゆるギャップという魅力は無い。
絵とか言葉回しとか、カイジの人間臭さとか、福本伸行が苦手だけど、伸るか反るかの込み入ったゲームは見たいって人が居たら誂え向きだね。