アキラナウェイ

ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREYのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

2.8
最高にぶっ飛んでいて、ド派手で、キュート。マーゴット・ロビー演じるハーレイ・クインという魅力的なキャラクターを生み出した事が、デヴィッド・エアー版「スーサイド・スクワッド」の唯一の功績なんじゃないかと思っている。

そんなハーレイを主役に据えた作品を作ると聞いた時、やめとけばいいのにと思った。

鑑賞してみて、大方その予想は当たった。

ジョーカーと破局したハーレイ・クイン(マーゴット・ロビー)は、彼に恨みを持つ悪党達から一気に命を狙われるハメに。ゴッサムの大物犯罪者シオニス(ユアン・マクレガー)に捕まったハーレイは、自らを解放する為の条件として、彼が求めるダイヤを見つけてくる事を提案する—— 。

これは敢えて作らなくても良かったんじゃない?

何故か。
ハーレイ・クインとかジョーカーって、ピエロ、クラウン、道化師の類いで、ドラクエで喩えるなら"遊び人"のポジションな訳で。そもそも、主役を務めるキャラじゃないのよね。周りで遊んでくれている方がよっぽど面白いタイプ。

じゃあ何故ホアキン・フェニックス主演の「JOKER」はヒットしたのかと言うと、ホアキンの演技力は勿論の事、道化師にならざるを得なかった彼自身の悲哀をこれでもかと深く掘り下げたからに他ならない。

で、問題のこの作品はどうかと言うと、ハーレイのナレーションばかりで語らせているのが、そもそも違和感。彼女は自分語りをするキャラじゃないし、誰かに理解を求めるタイプじゃない。

ぽっと出のキャラクター達をどんどん登場させて、即席の女子チームを結成させるけど、それをハーレイが纏めるなんてのも、違うでしょう。彼女はリーダーなんて面倒な役割を担う訳がない。

その他、気になった事のあれこれ。

刑事役の人、なんであんなに老けているの?シオニスが経営するバーの歌姫さ、いきなりキラーボイス的な特殊能力を発動させて何なの?X-MENなの?悪役はユアンでなくても良かった気がする。マスクを被ってからは尚の事誰でも良かった気がする。

クロスボウを使う、ハントレスというキャラだけは良かった。彼女の過去も含めて魅力的なキャラだと思うし、演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドもクール。

中盤の警察署を強襲するハーレイのアクションは素晴らしい。でも、終盤の全員入り乱れてわちゃわちゃしているだけのアクションはダメ。ハーレイがローラースケートを履いている時点でへっぴり腰で動き難そうだもん。

ハーレイのファッションや華やかさは相変わらず良いんだけど、作品としてはとっ散らかっている印象で、やっぱりこれなら、脇で好きな様に遊んでもらっている方が、断然彼女の良さが映えると思う。

ジェームズ・ガンの新作も、同じ様に色んなキャラがぽっと出で登場するけど、仕上がりが全く違うのは、ハーレイの使い方を心得ているからだと思うし、これを言っちゃあ元も子もないけど、センスの違いなんだろうなぁ。

あと、そもそも、ここ本当にゴッサムシティ?バットマンと同じユニバースと思えないぐらい、普通の街だったけど?