メシと映画のK佐藤

ストレイ・ドッグのメシと映画のK佐藤のネタバレレビュー・内容・結末

ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

ニコール・キッドマンが特殊メイクでアルコールに溺れやつれた女刑事を演じる事以外は特筆すべき点が無いクライム映画かなーと思わせておいてのどんでん返しがあり、中々の佳作でありました。
これで中盤までのかったるさの解消と、終盤のある事についての意味付けがされていれば文句無しの百点満点だったんだけどなー…😅

キッドマン演じる刑事エリンがかつてギャングへの潜入捜査で失敗してしまい、そのギャングのボスを取り逃がした過去を回想しつつ、そのボスの手がかりを現在で掴み、ボスを追う…と云う作りに本作はなっています。
上述の失敗が、潜入捜査官である事がボスにバレると云う類の失敗と思わせておいて、実際はエリンがギャングの上前をはねようとした事が発端となり、最終的に同僚であり夫でもあるもう一人の潜入捜査官を失うと云う失敗である事が終盤で判明します。
つまり、本作はエリンの復讐劇と思わせておいてその実彼女の過去の清算及び贖罪の物語であった訳です(エリンの夫を殺したのはボスなので、復讐劇の意味合いも有ります)。
この物語の変身っぷりが見事でありました。
映画の冒頭が実はエンディングとなっていた時系列のシャッフル、エリンの人間性を言い当てたボスの台詞、潜入捜査してたギャングの一員である女性がエリンに対して自分と同じ側の人間であると言い放った台詞等々、本作の本性を隠す仕掛け及び伏線もしっかりしていて見事。
尚、パンフ掲載の監督へのインタビューによれば、本作のテーマは「自身の過ちと向き合い、その行いに対して責任を果たすこと」だそうです。

冒頭で述べた通り中盤までがトロトロしていてテンポが悪く、もうちょっと何とかならんかったかなーと思いました。
そして、終盤でいきなりぶっ込まれたエリンの娘が話した幼少期の記憶の話をもうちょっと掘り下げて何かしらの意味付けをしてくれていれば、個人的に大傑作だったのですが…うーん、惜しい!