このレビューはネタバレを含みます
【差した魔をなかなか振り払わなかった罰】
17年前の潜入捜査の件を引きずる女刑事Erin。彼女の全身から放たれる病的なまでの執念に、好奇心が掻き立てられます。
途中までは本当に好みで面白かったけど…
強盗一味はともかく、
一番悪いのは…
「計画」を持ちかけたことよりも、「誰も傷付けない」という約束をErinが守らなかったことです。
犠牲者を出すまいと、Chrisが約束通り「計画」を中断した瞬間に、彼を援護しに行かなかった。あの時点でも彼女はまだ、自分の欲まみれの「計画」成功に懸けていたのです。
愛より金…だったのよね。
ワルはワルでも極悪ではない?Tobyは、彼女の運転で大怪我。
自らの「計画」は隠し通し、取り分もちゃっかり隠し、潜入捜査は勿論失敗。
俺達ずっと一緒だよ…というChrisとの愛の約束も…忘れたのか〜い(*_*)
毒親育ちとか?全然言い訳になりません(T_T)
しかしここは、過酷な潜入捜査に身を投じたヒロイン贔屓の立場で考えます。
Chrisとの愛の誓い?は、せめて良い母親になろうという努力で守れそうなものですが…、むしろ毒となる自分から娘を遠ざけるという苦渋の決断。
そもそも2人の目標は、銀行強盗一味の壊滅だった。Chrisの仇を討つ。そして一味と共に自分も滅びる。
悪い夢を見させた潜入捜査。
甘く刺激的な日々の思い出も、強盗と何ら変わらない一攫千金の儚い夢も、全て消し去る。
捜査自体をこの手で終わらせる。
何故なら自分のせいでしくじったから。
娘は自分のようになってはいけない。
似るならどうか父親似であって欲しい。
自分は幸せになんかなってはいけない。
自分に再生の機会など与えてはならない。
彼女は破壊者。
邦題より、原題のほうがしっくりくると思いました。
美貌を封印して…と言われていますが、ヒロインはNicole Kidmanで良かったと思います。潜入捜査中、Erinと絡むArturoに嫉妬してSilasはロシアンルーレットを持ちかけますし、Chrisも早々ゾッコンのようでしたし。
現在と過去が交互に描かれるも、同一人物が若い頃と老いた今を演じているので、分かりやすいほうだと思いました。
もし鍵となるErinの「計画」が無ければ、ただのよくある復讐劇。それはそれで目新しさはなくとも、スカッとして良かったのかも知れません。