うらぬす

ストレイ・ドッグのうらぬすのネタバレレビュー・内容・結末

ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

復讐心に駆られたエリンの憔悴っぷりと陰惨な暴力描写がかなり心を抉ってくる一方で、ロサンゼルスの街を映す映像はその闇の濁り方まで含めてひどく美しく、これは何かの皮肉なのかと疑うほど。
だけど最後の最後、復讐を果たした彼女が息を引き取る寸前(もしかしたらまだ生きているかも)の、スローモーションで映される輝かんばかりの世界と生命の息吹……。彼女は17年間あの真実の愛の記憶を抱いてなんとか生きてきたのだと思うにつけ、観ているこちらまで救われたような気持ちになって鳥肌が立った。異様な迫力のニコール・キッドマンを拝みに劇場に行っただけなのに、まさかこんなに感動させられることになるとは。こうしてレビューを書いている今も、腹の奥の方に言いようのない感情が渦巻き続けている。
時に緊張感を高め、時に胸を締め付けるような音楽も本当に素晴らしくて、作曲のセオドア・シャピロという人のキャリアを調べてみたらコメディ映画の音楽ばかりを手掛けていて驚いた。一体どういうことなの……。