延々と歩く

アド・アストラの延々と歩くのレビュー・感想・評価

アド・アストラ(2019年製作の映画)
2.7
 地球の危機を救うため太陽系のはしっこまで冒険しながら飛んでいくSF大作。

 ジェームズ・グレイ監督には好きな映画がたくさんあって、でもこれは見逃してたな~と思ったらムービープラスでやってたから録画。割と期待してみたのだが…うーん。

 監督のSF初チャレンジより、主演のブラッド・ピットの意向に引っぱられすぎてる気がした。別れた奥さんのことでウダウダしまくるってブラピ本人そのものやん!四六時中マリファナと酒飲んでたのは批評家の町山智浩さんなども目撃しているとこで、そういう情念を作品をきっかけにして観客にぶちまけてるようだった。

 まああなたのような一般人がツイッターやるのと違うからね?世界的大スターの心情告白って作品にもお金にもなるからね?と言われたら言葉もないけどさ。一部のシリアスSFって内向的・哲学的なものになりやすいし。とはいえ単純に一映画ファンとしてはあまり楽しめず、困ってしまった。

 グレイ監督も、どこからどう見てもSFむいてないのは一目瞭然だしな。地球にも火星にも装甲車があるのに、すでに紛争地帯になって久しい月面では皆が乗車席むきだしのバキーにのってる・しかもレーザー銃で撃ちあう!なんであんな危険なことになるんでしょうか。映像もバリバリのCGかと思ったら急に模型になったり…終盤は予算が足りない感じモロ出しなのでしょうがないけど、それ以外は監督にハッキリしたSF映画のイメージが無いからスタッフも色々やるしかなかったという雰囲気がある。

 トミー・リー・ジョーンズがただのエイリアン大好きおじさんなのは笑ったが。普通だったら「愛する人を亡くし、救いを求めて宇宙に飛び立つ…」とかなのにそんな理由もなく、ただひたすらにエイリアンに会いたいというのがスゴイ。まあ現実世界で仕事にのめりこむ人ってこんな感じだよね~みたいなそっけないリアリティ。
延々と歩く

延々と歩く