真魚八重子

草の葉の真魚八重子のレビュー・感想・評価

草の葉(2018年製作の映画)
4.5
カフェで聞き耳を立てる女。周りの男女の客たちは、みなそれぞれの身近な人や、本人の自殺についての会話をしている。深刻なはずなのに、他責的で滑稽な二人組ばかり。男たちはなぜか俳優が多いようだ。
カフェでは「10日間一緒に創作をしませんか」と、唐突であつかましいナンパをされる。ホン・サンスはこんなやり方でナンパを実際に成功させてきたのかもしれない。
女は弟と、CAをしているという彼女と会食をする。だが単純な幸せの構図に疑問を持ったのか、女はちょっと弟カップルに絡む感じになってしまう。
夜、最初のカフェに戻ると、なんとなく穏やかな雰囲気で秋の焼酎をみんなが嗜んでいる。

女は観察者でありたい。でもなかなか美しい女性は放っておかれず、渦中に引き込まれそうになる。周囲の人への冷静なコメントをマックに綴っていても、「何を書いているの?」と興味を持たれる。女も諦めて、その飲みに参加してしまうのが簡単だし、とりあえず秋の一夜は楽しくなるだろう。生きているのだから。

スケッチのようなシリーズで、これはとても好き。キム・ミニの毛量の多さ、黒目がちで目が座っている感じは、ある種の情念の強い女性を表していて、彼女が座っているだけで画が持つ。
真魚八重子

真魚八重子