このレビューはネタバレを含みます
どうしてこうなるのだろう。
白石和彌監督にこう思うのは初めてじゃなくて、「サニー/32」のときも似たような感想が浮かんだ。どちらも素材はいいのに、雑な脚本とうわついた演出でなんだか台無しの出来栄え。悪い意味で「テレビからの企画で作っちゃいました」映画(こういう映画にも面白いのはあるけどね)くらいには雑な作り。
なぜ、この設定なのか。「哲也が現代にいたら」ではなく(BBCのホームズはこれで成功している)、タイムスリップさせたのはどうしてなのか。そして、現代の世界を荒廃させたのはどうしてなのか。ドテ子とクソ丸をああいう設定にしたのはどうしてなのか。
もちろん、こうした設定にしたのは面白いと思ってのことなのだろうけど、どうにも浅い感じがして楽しめなかった。なにより新しさを感じなかった。折角、オリンピックを絡めたのに活かせてなかったと思うし、練られていないディストピア設定って、多感な中学生が勢いに任せて妄想した世界みたいで、寒気がするほど素人くさい。これプロの作品なのに。
救いなのは演者たちがなんだか楽しそうにやっていたところかな。主要キャストの半分くらいは役者プロパーじゃないところも、なんだかカオスで良いです。